(5/17追記) 先日当ブログのFacebook宛に、著者の松村嘉浩さんがコメントを下さいました!まさか著者ご自身がコメントをして下さるとは望外の喜びです。
さて、本日はFXとは一見関係ない書籍、「増補版 なぜ今、私たちは未来をこれほど不安に感じるのか?―――日本人が知らない本当の世界経済の授業」のレビュー記事です。投資と直接関係ない本ですが、是非紹介したいと思い、備忘録を兼ねて書くことにしました。
とても読みやすく、過去に勉強した歴史と、今世界で起きている経済的な出来事とが一本の糸でつながって理解できるため、投資をしている方にも、「経済って難しくて分からない」という方にも自信をもっておススメします。
新聞やニュースで説明される、リーマンショックの原因、アメリカや日本経済政策の本質、中国の経済低迷の原因、これらが薄っぺらく感じてしまうほど、分かりやすく簡単なことばで本質を説明しています。
希望のゼミに落ちた女子大生の御影絵玲奈は、ゼミ生ゼロの不人気な内村教授のゼミに仕方なく参加します。数理経済学などチンプンカンプンな絵玲奈に、内村教授は根気強く、経済学以前の経済史と今の世界で起きている政治や経済的な出来事の因果関係を話し聞かせる、という半ば対談、半ば小説の様な形式で進められていきます。
根底には、世界システム論をベースにした筆者の主張が込められています。
- 途上国は先進国になれない ---- 旧植民地とそうでなかった国家の根本的な違い
- 行き過ぎた資本主義の行き詰まり ----「経済成長」できない時代に既に地球規模で突入している
- リーマンショックが発生した「需給関係」 --- 年金が原因の一つだった
- アベノミクスがいかに危険なものか
- アベノミクスが失敗した理由
- アートは金銀に代わる次の「貨幣」である
松村嘉浩さんという方が記した本で、元々は外資金融で債券トレーダーだった方です。経済史的観点だけでなく、宗教史・文化史の観点からの、資本主義の行き詰まりに関する分析が非常に興味深く、楽しめる一冊です。
蛇足ですが、欧米諸国の資本主義陣営がいかにえげつない事をしてきたか、責任を取らずにきたかも書かれています。
昨今のパナマ文書の暴露は、タックスヘイブンの需要を呼び込むためのアメリカの仕掛けた新たな成長戦略と経済戦争の一環なのでは? と本書を読み終わった後に感じてしまいました。