本稿では、ハーモニックパターンの基礎中の基礎となる考え方、AB=CDパターンを紹介します。AB=CDパターンは単体でも機能しますが、実は様々な値動きの中に内包されている値動きのパターンでもあります。
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AB=CDパターン
左側が買いパターン、右側が売りパターンとなります。
(買いの場合) 始点Aから一定の値幅下落し、B点から調整の戻りが入り、C点からD点まで再度下落という値動きです。この時、C~Dの値幅とA~Bの値幅がほぼ同一である事が成立の要件となります。
また、ABに対するBCの押し戻りの際にも、BCの値幅がABに対して0.382~0.886である事が求められます。
※ 0.382は厳密に0.382AB分の値幅ではなく、0.382~0.500 (0.382の次) までであれば良い。ただし、フィボナッチ比率に近いほど信頼性が向上。
理想的なAB=CDパターン
ハーモニックパターンの祖であるスコット=M=カーニー氏は自身のwebサイトで、理想的なAB=CDパターンは、ABに対するリトレースメントは0.618もしくは0.786 (範囲でなく、決め打ちでこの二つ) が望ましい、と述べています。
同様に、BCプロジェクションも1.27または1.618が望ましい、ということの様です。
個人的にも、各種比率がフィボナッチ比率に近い方が当たりが多いかな、と体感程度ですが思うことは多いです。
AB=CDパターンを構成するフィボナッチ比率
AB=CDパターンで、ABリトレースメント (C点がどこまでABに対して戻すか) の比率ごとに、BCがどこまで伸びればAB=CDパターンが成立するか、を表にまとめてみました。
おおむね、この表内の比率でAB=CDパターンが現れて来ます。
AB=CDパターン成立事例
2014年ごろのポンド円4時間足で、AB=CDパターンがほぼピタリと成立していましたので成立事例として紹介します。
ABに対するBCの戻しが0.619、と0.618の近似値で非常に良いパターンだと思います。
この例では、AB=CDのポイントを20pips程度下抜けて猛反発し、400pipsほどの大きな上昇を見せました。上昇後、直近高値であるC点に引っかかり、再度下落しています。
こうしたAB=CDパターンも万能ではなく、あくまで分析手法の一つでしかないため、直近高値安値が作るサポレジゾーンでのプライスアクションも合わせて観察するべきです。
AB=CDパターン失敗(不成立)事例
ごく最近のドル円日足チャートです。ABに対する戻しが0.785、と非常に良い数字でしたが、AB=CDのポイントで下落が止まらず、2016年3月18日現在、後述するAlternate AB=CDパターンの一つに変化している様に見えます。
AB=CDポイント (114.00付近) を一気に下抜けて、1.272AB=CDのポイント (111.30付近) まで下落が進みました。
今後、ここで反転するか、1.618AB=CDまで進むか…。
本例は、次段の「Alternate AB=CDパターン」の、CD>1.0ABの事例にもなっています。
Alternate AB=CDパターン
Alternate (もう一つの、代わりの) AB=CDパターン。必ずしも全ての値動きでAB:CD=1:1の近似値になるわけではないため、この考え方が出てきました。
Alternate AB=CD (CD > 1.0AB)
CDの波がABの値幅を超えて伸びていくパターン。ABより伸びる場合も、1.272倍と1.618倍は強く意識されるポイントになります。
Alternate AB=CD (CD < 1.0AB)
CDがABの値幅よりも伸びずに値動きが終わってしまうパターン。
この時も、0.618倍と0.786倍は非常に強く意識されるポイントになります。AB=CDや1.272AB=CDが完成する過程でも利食いのポイントとして使われたりするため、値動きが荒くなりやすいポイントであるとも思います。
以上、本稿ではハーモニックパターンの基礎となる、AB=CDパターンの考え方についてまとめました。