前回記事に続きまして、今回はディナポリ手法について管理人の主観を交えて紹介します。
この手法はジョー=ディナポリという人物が考案した、フィボナッチリトレースメントとエキスパンションを使う実践的なトレード手法になります。
Contents
ディナポリ手法で使うフィボナッチ比率
ディナポリ手法で使用するフィボナッチ比率は主に3つだけ。
0.618、1.000、1.618 これだけなので算数が苦手な管理人でも楽々…だと思います。
DMA (Displaced Moving Average)
ディナポリ手法ではDMAと呼ばれる少し細工したMA(移動平均線)を使用します。簡単に言えば、普段の移動平均線を少し右にずらしたものです。少しずらすだけで価格と移動平均線の位置関係が頻繁に変わることがなくなり、トレンドを素直に追いかけやすくなります。
DMAの設定方法(MT4)
MT4でDMAを設定する方法を紹介します。と言っても非常に簡単です。
MT4で移動平均線を表示させる
移動平均線の設定画面で「表示移動」の数字を増やす (初期値は0)
以上でチャート上にDMAが表示されます。今回は主に3x3DMAを使用するので、「期間」、「表示移動」ともに3を設定してください。
シングルペネトレーション
ディナポリ手法の中で最も有名と思われる、トレンド発生後の押し戻りを利用したオーソドックスな手法です。
1) まず「スラスト」を探します。
この時、3x3DMAを終値でトレンドと反対方向に抜けていない上昇または下降が最低8本は続いていることが条件になります。本数が多いほど精度が上がります。
2) スラストの勢いが落ち、3x3DMAを割ったら、スラスト全体の長さの0.618のポイント(38.2%リトレースメント)でエントリーします。ストップはスラスト全体の長さの0.382 (61.8%リトレースメント) の少し後方に置きます。
3) 利食いは、スラストに対する押し(上図の下降波)の0.618リトレースメントのポイントに置きます。
上のチャートでは高値を更新しているので結果的に元のスラストの100.00%地点で利食ってもよさそうですが、毎回高値更新するわけではないため、押し(調整波動)の長さの0.618分期待する方向に動いたらそこで利食いする様にします。
シングルペネトレーションはトレンドの第二波、それも頭から尻尾までではなく、胴体の一部のみを狙う良く言えば安全、悪く言えばやや保守的な手法です。ややRR比率 (Risk vs Reward)が良くありませんがその分勝率高めで勝ちやすい手法の様です。
ダブルレポ
ダブルレポは大きめの流れの転換をつかむための手法です。そのため、日足以上の時間枠での使用が推奨されています。4時間足などでも効果はありますが、精度はやや落ちるかもしれません。ここでは日足チャートで紹介します。
シングルペネトレーションの条件を満たす、最低8本に渡るスラストが続いた後、短期間で2回3x3DMAをスラストと反対方向に抜けた場合、ダブルレポが完成します。
ダブルレポ完成で、流れが変わる可能性が出てきたと認識する事ができます。上のチャートではダブルレポ完成後、更に下に向かうと思わせて一気に上に流れが変わりました。
ここで大事なのは、ダブルレポ完成≠流れが変わる、という事です。流れが変わったかどうかは何かしらの方法で確認するべきであると考えます。
エントリー例1) ダブルレポ完成後の高値・安値更新
チャート内のダブルレポ前後の戻り高値を終値で超えたらロングエントリー。少し利幅は減りますが安全性が大きく上がります。
エントリー例2) ローソク足形状でエントリー
チャート内では、ダブルレポ完成後上昇せずにいったん下落し、そこで安値を一瞬更新してダマシを出してから上昇しています。これを逆手に取り、安値更新時の足と次の足がはらみ足を形成した後に、はらみ足母線を超えたら即ロングエントリーします。利幅は増えますがややリスクは上がります。
ダブルレポフェイラー
ダブルレポでダマシにあってしまった場合、ダブルレポフェイラー(失敗)という事になります。ダブルレポだと思ってエントリーした場合、いったん損切りが必要になりますが、逆に考えれば元のトレンド方向に更に伸びる可能性あり、という事にもなります。
ダブルレポが完成するも、更に上昇してしまったパターンです。この場合、ショートはいったん損切りし、更にロングするという選択肢が考えられます。
ダブルレポにだまされないようにする方法
いくつか、ダブルレポで注意するべき点を考えてみました。
1.移動平均線と価格の位置関係を利用する
単純に、25x5DMAなど少し長めのDMAの上に価格が来たら上昇、下に来たら下降、と判断。ダブルレポ発生後、例えば上のチャートでは、最初のダブルレポは25x5DMAを上抜けたからダブルレポ成功 ⇒ 買い。次のダブルレポは25x5DMAを下抜ける前に高値更新したのでダブルレポ失敗 ⇒ 見送り、とします。
2.サポレジを利用する
チャート内の目立つ高値安値ゾーンを把握しておき、ダブルレポ発生後、サポレジを抜けたら成功と判定して元のトレンドと反対方向にエントリーする方法。例えば上のチャートでは、最初のダブルレポは上値抵抗帯(レジスタンス)を終値で上抜けたからダブルレポ成功 ⇒ 買い。次のダブルレポは下値支持帯(サポート)を下抜ける前に高値更新したのでダブルレポ失敗 ⇒ 見送り、とします。
3.オシレータのダイバージェンスを利用する
ダブルレポの形はダブルボトム・ダブルトップの形に近いです。二度目のボトム・トップで安値を更新するような場合、オシレータでは反転形状のダイバージェンスが出やすいです。これを判定基準に利用するのがこのやり方です。
毎回出るとは限りませんが、反転の根拠を一つ増やしてくれます。トレードは根拠の積み重ねでもあるので、利用しやすい判断基準は利用して良いかと思います。オシレータの数を増やしすぎても混乱を招くので、オシレータは多くて二つまで、なるべく一つだけで良いと思います。
以上、ディナポリ手法のさわりを紹介しました。詳細はまたの機会に紹介したいと思います。